広島大学病院小児科 代謝外来・内分泌外来 からのご案内

 

「先天代謝異常症」とは...


  私たちの体では、生命活動の一環として、様々な物質が合成

 されたり分解されたりしています。「代謝」とは、このような

 物質処理の流れを指す言葉です。


  ある物質を別の物質に変換する化学反応には「酵素」の働き

 が必要です。個々の物質・化学反応に応じて、それぞれ専用の

 酵素が生まれつき備わっています。


  体内で働いている膨大な種類の酵素のうち、いずれかの機能

 が十分でないと、その酵素が分解すべき物質が増えすぎたり、

 逆にその酵素が合成するべき物質が不足する、といった状況が

 出現します。


  赤ちゃんたちの中には、酵素の機能が生まれつき十分でない

 ために、様々な症状が出てしまう子たちがいます。このような

 病気の総称が「先天代謝異常症」です。



従来から続いている新生児マス・スクリーニングの対象は4疾患:


  ★ アミノ酸代謝異常症


    フェニルアラニン高値 → フェニルケトン尿症

    ロイシン高値     → メープルシロップ尿症

    メチオニン高値    → ホモシスチン尿症


  ★ 糖質代謝異常症(ガラクトース高値)→ ガラクトース血症

広島県内で出生され,新生児マス・スクリーニング検査で陽性となった赤ちゃんのご家族の方へ

「新生児マス・スクリーニング」とは...


  ヒトの様々な病気の中には、生後すぐに診断し治療を始めることによって、症状の出現・進行を予防できるものがあります。

  そのような病気を見つけるために行われているのが「新生児マス・スクリーニング」と呼ばれる検査です。


  新生児マス・スクリーニング検査は、1950年代にアメリカで実用化されました。その巧妙な検査方法は、開発者ガスリー博士

  にちなんで、現在でも「ガスリー法」と呼ばれています。


  日本へは1977年、全国一律に行われる検査として導入されました。以来30年余にわたって、4種類の「先天代謝異常症」と、

  2種類の「内分泌疾患」を対象として続けられてきましたが、


  先天代謝異常症のうち「アミノ酸代謝異常症」3疾患は、「タンデムマス法」によるスクリーニングへと移行しています。

「内分泌疾患」とは...


  体内には「内分泌器官」と呼ばれる器官が、あちこちに分散

 した形で存在しています。「下垂体」「甲状腺」「副甲状腺」

 「副腎」「卵巣/精巣」「膵臓ランゲルハンス島」などです。


  これらの器官から分泌される物質は、血液によって運ばれて

 遠く離れた標的部位に作用し、様々な効果を発揮します。この

 ような物質を「ホルモン」と呼びます。


  ヒトには、個々のホルモン分泌の過剰や不足が原因となって

 起こる様々な疾患が知られていて、それらは「内分泌疾患」と

 総称されています。


  赤ちゃんたちの中には、特定のホルモンの分泌が生まれつき

 十分でないために、様々な症状が出てしまう子たちがいます。

 先天代謝異常症の新生児マス・スクリーニングが始まった後、

 これらの内分泌疾患も対象として追加されました。



新生児マス・スクリーニングの対象は2疾患:


    ★ 先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)


    ★ 先天性副腎皮質過形成症

Department of Pediatrics, Hiroshima University Graduate School of Biomedical & Health Sciences. 1-2-3 Kasumi, Minami-ku, Hiroshima 734-8551, Japan. All rights reserved.

新生児マス・スクリーニングは、病気の可能性がある赤ちゃんを「拾い上げる」検査であり、「陽性」という結果の通知があっても、病気と決まったわけではありません。精査の結果「正常」と判定される「偽陽性」の

場合もあります。また、症状が現れてから診断される場合とは異なり、積極的な治療がなくてもほとんど症状を示さないような「軽症例」と判断されるケースも少なからず生じます。


以下、本サイトでご説明する内容については、このような点を踏まえた上でご覧ください。

これは本サイトで採り上げるすべてのスクリーニング項目に共通する重要な注意事項です。

タンデムマス法による

新生児マス・スクリーニング

msms.html

関連サイトへの

リンク集

link.html

従来の検査法による

新生児マス・スクリーニング

http://www.41jsms.jp