広島大学病院小児科 代謝外来・内分泌外来 からのご案内
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★メチルマロン酸血症
★プロピオン酸血症
★イソ吉草酸血症
★グルタル酸血症1型(またはグルタル酸尿症1型)
★複合カルボキシラーゼ欠損症
(またはマルチプルカルボキシラーゼ欠損症)
★メチルクロトニルグリシン尿症
(または 3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼ欠損症)
★ HMG 血症
(または 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸血症,
あるいは 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAリアーゼ欠損症)
広島県内で出生され,新生児マス・スクリーニング検査で陽性となった赤ちゃんのご家族の方へ
「タンデムマス法」による新生児マス・スクリーニングとは...
血液や尿などに含まれる様々な物質を、それぞれの「質量」を分析することで特定し、その濃度も測定することができる「質量分析計(マス・スペクトロメーター)」という機器があります。馴染みのない言葉かと思いますが、例えば 2002年に
ノーベル化学賞を受賞した田中幸一博士の業績は、この質量分析に関するものです。
特に、2台の質量分析計を直列に(=タンデム)つなげた「タンデム質量分析計」は、分析スピードが非常に速く、極めて微量の物質も測定できるため、従来は不可能だった多くの先天代謝異常症も、新生児マス・スクリーニングで発見できるようになりました。「タンデムマス」とは、この「タンデム質量分析計」を指す略称です。
タンデムマス法による新生児マス・スクリーニングは、1990年代に欧米各国で相次いで開始されました。日本国内では1997年に福井県で最初に導入され、これに広島県と徳島県(および一部地域)が参加して共同試験研究が進められました。2005年からは、国内5拠点(札幌,東京,福井,島根,熊本)に分析センターを置く厚生労働科学研究班が組織され、実施地域が拡大しました。その後も大阪など新たな分析拠点が加わり、このスクリーニング検査を受ける新生児数は徐々に増えていきましたが、
試験研究期間の最後となった2010年度でも、タンデムマス法によるスクリーニングを受検したのは、年間国内全新生児の1/4程度に留まっていました。つまり、「出生地によって、赤ちゃんが受けられる検査に差が生じている」というのが国内の状況だったのです…が、
2011年3月31日、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長から、各都道府県・指定都市の母子保健部門に対して、タンデムマス法による新生児マス・スクリーニング検査の導入を促す通知がなされました。これを受けて本スクリーニングの自治体事業化が急速に進展し、2014年度中には、全国どこで生まれた赤ちゃんも、この新しい新生児マス・スクリーニングを受けられる体制が実現する見通しです。
タンデムマス法によって発見できるのは、主として「有機酸代謝異常症」「脂肪酸代謝異常症」と呼ばれる疾患群ですが、 従来の「アミノ酸代謝異常症」もタンデムマス法で検査できるため、検査法が統合されました。また、人の生命活動に伴って不可避的に発生する有害物質である「アンモニア」を処理する酵素の機能が低下する「尿素サイクル異常症」も、血中アミノ酸の異常を呈することから、一部の疾患がタンデムマス法による検査の対象疾患に加えられました。
★全身性カルニチン欠乏症
(またはカルニチントランスポーター異常症)
★カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1欠損症
(または CPT-1 欠損症)
★カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2欠損症
(または CPT-2 欠損症)
★ミトコンドリア三頭酵素欠損症
(または TFP 欠損症,あるいは LCHAD 欠損症)
★極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症
(または VLCAD 欠損症)
★中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症
(または MCAD 欠損症)
★グルタル酸血症2型(またはグルタル酸尿症2型)
Department of Pediatrics, Hiroshima University Graduate School of Biomedical & Health Sciences. 1-2-3 Kasumi, Minami-ku, Hiroshima 734-8551, Japan. All rights reserved.
タンデムマス(あるいは「新しいマス・スクリーニング」)で「陽性」
と言われて精密検査を勧められた赤ちゃんのご家族の方へ
以下のリストの中から、お子さんが「陽性」と言われた疾患を探してみてください。見つかった疾患名に応じて
「有機酸代謝異常症」「脂肪酸代謝異常症」「尿素サイクル異常症」の説明をお読みいただくことができます。
従来の検査法による
新生児マス・スクリーニング
関連サイトへの
リンク集
タンデムマス法による
新生児マス・スクリーニング
★シトルリンの増加でスクリーニングされる疾患
・シトルリン血症1型(または古典型シトルリン血症)
・アルギニノコハク酸尿症
・シトリン欠損症
(またはシトルリン血症2型,あるいは成人型シトルリン血症)
★アルギニンの増加でスクリーニングされる疾患
(公的スクリーニング対象疾患とはなっていません)
・アルギニン血症(またはアルギナーゼ欠損症)
★シトルリンの減少でスクリーニングされる疾患
(公的スクリーニング対象疾患とはなっていません)
・オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症
(または OTC 欠損症)
・カルバミルリン酸合成酵素1欠損症
(または CPS-1 欠損症)
・N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症
(または NAGS 欠損症)